事例でみる役員変更登記の添付書類

 愛知県津島市・愛西市・弥富市を中心で営業している「いとう司法書士事務所」です。 


 役員変更登記の添付書類が何であるか、専門家でない限りなかなか直ぐ分かる人はおりません。弁護士さんだって分からない人が多いです。加えて、平成27年2月以降、本人確認証明書の添付も要求され、一層分かり難くなりました。そこで、役員変更登記の添付書類について、事例とともに説明したいと思います。

 

 大きく分けて「取締役会がない会社(取締役会非設置会社)」「取締役会がある会社(取締役会設置会社)」によって大別されます。まずは「取締役会がない会社(取締役会非設置会社)」から。

 

●関連ページ

役員変更の登記はこちら

 

取締役会非設置会社

取締役A・B・C、代表取締役Aとする設立の登記で、定款で代表取締役の選任は株主総会の決議によって定めるとある場合

発起人の過半数の一致を証する書面(取締役A・B・Cと代表取締役Aの選任。定款で定めることが多い)

取締役兼代表取締役Aの就任承諾書(実印)

取締役B・Cの就任承諾書(実印)

A・B・Cの印鑑証明書


説明:取締役と代表取締役の地位は一体化しているため、Aの代表取締役としての就任承諾書は不要。ただし分かりやすくするため「取締役兼代表取締役」と兼用。

 

取締役A・B・C、代表取締役Aとする設立の登記で、定款で代表取締役の選任は取締役の互選によって定めるとある場合

発起人の過半数の一致を証する書面(取締役A・B・Cの選任。定款で定めることが多い)

取締役A・B・Cの就任承諾書(実印)

取締役A・B・Cの互選書(代表取締役Aの選任)

代表取締役Aの就任承諾書(認印可)

A・B・Cの印鑑証明書


説明:代表取締役の選任方法を「取締役の互選」とした場合、取締役と代表取締役の地位は分化しているため、Aの代表取締役としての就任承諾書は必要。


役員が「取締役A、代表取締役A」のときに平取締役Bを追加する登記で、定款で代表取締役の選任は株主総会の決議によって定めるとある場合

株主総会議事録(平取締役Bの選任、代表取締役Aの選定)

取締役Bの就任承諾書(実印)

Bの印鑑証明書

 

説明:定款には「代表取締役が2人以上のときは、株主総会の決議によって定める」とあるため、単に取締役Bのみを選任するだけでは足りない。AB2人以上になったので、Aを代表取締役に選任する必要がある。


役員が「取締役A・B、代表取締役A」のときの役員改選として「取締役C・D、代表取締役C」とする登記で、定款で代表取締役の選任は株主総会の決議によって定めるとある場合

株主総会議事録(取締役C・Dと代表取締役Cの選任、出席取締役が実印を押印

取締役兼代表取締役Cの就任承諾書(実印)

取締役Dの就任承諾書(実印)

C・D・出席取締役の印鑑証明書

 

又は

 

株主総会議事録(取締役C・Dと代表取締役Cの選任、前代表取締役Aが出席し代表印を押印

取締役兼代表取締役Cの就任承諾書(実印)

取締役Dの就任承諾書(実印)

C・Dの印鑑証明書


説明:代表取締役が変わるときには、代表取締役を選任した時の議事録に出席取締役全員が実印を押印し、印鑑証明書が必要となる。しかし、前代表取締役Aが当該株主総会に出席し、出席取締役として法人代表印を押印すれば、出席取締役全員の実印と印鑑証明書は不要となる。


役員が「取締役A・B、代表取締役A」のときの役員改選として「取締役C・D、代表取締役C」とする登記で、定款で代表取締役の選任は取締役の互選によって定めるとある場合

株主総会議事録(取締役C・Dの選任)

取締役C・Dの就任承諾書(実印)

取締役C・Dの互選書(実印)

代表取締役Cの就任承諾書(認印可)

C・Dの印鑑証明書

定款

 

説明:代表取締役が変わるときには、代表取締役を選任した時の互選書に出席取締役全員が実印を押印し、印鑑証明書が必要となる。この場合、前代表取締役Aが互選には参加できないため、法人代表印を押印することができなく、互選に関わる取締役全員の実印と印鑑証明書は不要となる。また、取締役の互選によって定める旨が定款に定めれていることも証明しないといけないため、定款の必要となる。

 

取締役会設置会社

取締役A・B・C、代表取締役Aとする設立の登記

発起人の過半数の一致を証する書面(取締役A・B・Cの選任。定款で定めることが多い)

取締役A・B・Cの就任承諾書(認印可)

取締役A・B・Cによる代表取締役選定決議書(代表取締役Aの選任)

代表取締役Aの就任承諾書(実印)

Aの印鑑証明書

B・Cの本人確認証明書

 

説明:取締役会設置会社がある場合、平取締役の就任承諾書に実印を押印し印鑑証明書を添付する必要はなく、代表取締役についてのみ必要となる。そのため、印鑑証明書を添付しない取締役は、本人確認証明書が必要となる。なお、設立時には取締役会は存在しないので、選定決議書となる。


役員が「取締役A・B・C、代表取締役A」のときに平取締役Dを追加する登記

株主総会議事録

Dの就任承諾書(認印可)

Dの本人確認証明書


説明:取締役会設置会社がある場合、平取締役の就任承諾書に実印を押印し印鑑証明書を添付する必要はない。そのため、本人確認証明書が必要となる。


役員が「取締役A・B・C、代表取締役A」のときの役員改選として「取締役D・E・F、代表取締役D」とする登記 -【改選により全員が新任に就く場合】

株主総会議事録

取締役D・E・Fの就任承諾書(認印可)

取締役会議事録(出席取締役D・E・Fが実印を押印)

代表取締役Dの就任承諾書(実印)

D・E・Fの印鑑証明書


説明:代表取締役が変わるときには、代表取締役を選任した時の議事録に出席取締役全員が実印を押印し、印鑑証明書が必要となる。


役員が「取締役A・B・C、代表取締役A」のときの役員改選として「取締役A・D・E、代表取締役D」とする登記-【前代表取締役Aが関わる場合】

株主総会議事録

取締役A・D・Eの就任承諾書(認印可)

取締役会議事録(出席取締役A・D・Eが実印を押印)

代表取締役Dの就任承諾書(実印)

A・D・Eの印鑑証明書

 

又は

 

株主総会議事録

取締役A・D・Eの就任承諾書(認印可)

取締役会議事録(前代表取締役Aが代表印を押印

代表取締役Dの就任承諾書(実印)

Dの印鑑証明書

Eの本人確認証明書


説明:代表取締役が変わるときには、代表取締役を選任した時の取締役会議事録に出席取締役全員が実印を押印し、印鑑証明書が必要となる。しかし、前代表取締役Aが当該取締役会に出席し、出席取締役として法人代表印を押印すれば、出席取締役全員の実印と印鑑証明書は不要となる。すると、新任のEは印鑑証明書を添付する必要がなくなるため、本人確認証明書の添付が必要となる。

 


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