遺言は大きく分けて、公証役場に行って作成する「公正証書遺言」と、自分で作成する「自筆証書遺言」とがあります。特徴、メリット、デメリットは次のとおりですが、当事務所では基本的には公正証書遺言をおススメしています。
専門家が入ってしっかりと作成!
公正証書遺言は、公証役場に行って公証人に遺言を作成してもらう手続きです。公証人が「この内容で問題はないか?」としっかりとチェックがなされますので安心できる遺言書です。また、作成の際には、証人2人が立ち会う必要があるため、証明力もあります。
遺言書を紛失しても大丈夫!
公正証書遺言の原本は、公証役場に保管されます。保管期間は20年間ですが、期間を経過しても保管されることが通常です。遺言書を作って何年も過ぎると何処に保管したか忘れやすいですし、遺言を残しても、相続人が遺言書を見つけてくれない可能性がありますが、公正証書遺言の場合は、その心配がぐっと減ります。
相続人の手続きが楽!
通常、遺言が発見されると、その遺言が偽造されないよう、家庭裁判所に「検認」という手続きを経なければいけませんが、公正証書遺言ではその手続きは不要です。残された親族や相続人は、公正証書遺言があれば、あとは遺言の内容の実現に向けて動くだけです。
費用がかかる!
公正証書の手数料や専門家にサポートを頼むとその報酬がかかります。ただ、費用がかかるのを避けて自筆証書遺言を作成しても、自筆証書遺言では遺言者が亡くなった後に家庭裁判所へ「検認」の手続きをしなければなりませんので、そのときの手間と費用を考えると、一概に費用がかかるとも言えません。
紙とボールペンと印鑑ですぐ書ける!
自筆証書遺言は、文字通り自分で書く遺言書です。したがって、紙とボールペンがあれば、手元の紙切れにササッと書き記し、印鑑を押印すれば、それで自筆証書遺言は完成です。作成自体はとても簡単にできます。
費用はかからない!が・・・
自筆証書遺言は自分で書くだけで済みますので、公正証書遺言のように手数料はかかりません。ですので、「全財産を◎◎に相続させる」と言った内容がとてもシンプルな遺言書を作成する場合は、自筆証書遺言の方がよろしいでしょう。しかし、注意が必要なのは、費用はかかりませんが、遺言者が亡くなったときは家庭裁判所の検認手続きを経なければなりませんので、その際には手間と費用がかかります。
作り方が法律で決まっている!
上述のように、自分で手軽に書く事ができますので、どんな物が遺言書なのか境界線が必要です。そこで法律では自筆証書遺言での作り方が規定されており、それを守らないと遺言書は無効となってしまいます。
また、遺言の文言も具体的に書かないといけないところ、例えば「自宅を○○に相続させる」といったあやふやな表現で書かないよう注意が必要です。なぜなら、自宅がどこの不動産を指しているのかハッキリしません。
このように、遺言の書き方をまったく勉強せずに自筆証書作成するのはとても危険です。
項目 | 公正証書遺言 | 自筆証書遺言 |
作成方法 |
公証役場に行って、遺言の内容を口頭で伝え、公証人が筆記する。その際には2人の証人が必要となる。 |
全文自分で書く。 作成日付を記入し、署名・押印をする。 |
保管方法 |
公証役場に原本が保管される。謄本は、遺言者の手元に残せる。 |
自分で保管場所を見つける必要がある。 なお、貸金庫に保管してはいけない。 |
家庭裁判所の検認 | 検認の必要は無い | 検認の必要がある |
メリット
|
・公証人が遺言の内容をチェックし、相談にも乗ってくれるので、安心。 ・遺言の謄本を紛失しても公証役場に保管してある。 ・遺言者が死亡した時、家庭裁判所にて検認手続きをしなくても良い。 |
・作成するのに手間と費用がかからない。 |
デメリット |
・手間と費用が数万~十数万円ほどかかる。 ・内容を2人の証人に知られてしまう。 |
・遺言者が死亡した時、家庭裁判所にて検認手続きをする必要がある。 ・遺言の内容が曖昧だったり、法律上無効な内容を書く恐れがある。 ・遺言書の紛失の恐れがある。 ・亡くなった後、遺言書を見つけてもらえない可能性がある。 |
司法書士は、不動産登記や相続の専門家です。遺言作成の段階で、将来の手続きを見据えて、お客様の遺言作成のサポートを致します。
具体的には、遺言書の内容の検討、必要書類の収集又は収集のアドバイス、公証役場との段取り、公正証書遺言の証人、遺言執行者の選任など、広範囲に渡ってお手伝いすることができます。
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