昔の不動産取引の習慣で、抵当権設定と同時に、賃借権仮登記がなされていたことがあります。昔は、抵当権よりも短期賃貸借が優先されていた為、それを防ぐ目的でなされていましたが、判例により否定され、また法律も改正されたことにより、このような不動産実務はなされなくなりました。
このように、不動産に古い用益権(賃借権、地上権、借地権など)が設定されたまま、権利者が行方不明になっていたり、相続人が誰かわからないまま放置されている場合があります。登記簿上にこのような権利が残ったままにしておくと、いざという時に大変です。
権利者が所在不明で、抹消登記手続きをすることが出来ない場合、以下2つの方法が考えられます。
1.除権決定を得る方法
2.訴訟を提起して判決を得る方法
「契約を解除していた」「存続期間が満了していた」等、既に権利が消滅している場合には、裁判所に公示催告を申立て、一定期間、公告をします。この間に、権利者が申し出なければ除権決定が下り、その除権決定を登記所に提出すれば、不動産所有者だけで抹消登記を申請することができます。
この方法をとるための条件としては、既に権利が消滅していること、それを証明する資料(証拠)が揃っている事です。また、相手を手を尽くして探しても見つからない状態でないといけません。
例えば、上記の「古い賃借権の登記記録」では「存続期間3年」とありますので、昭和62年には権利が消滅していることがわかります。このような登記記録が記されている場合には、登記簿謄本が重要な証拠となり、除権決定を得る事ができます。
もう一つの方法は、訴訟を提起することです。こちらは権利者に対し「登記を抹消しろ」と訴える手続きになります。この方法をとるための条件としては、上記と同じく、権利が消滅させることができる条件が整っていることが必要です。
例えば、賃料や地代を支払わずに放置されていた場合、賃借権は契約解除しない限りは権利が存続していますが、解除の通知を相手に届ければ権利を消滅させることができます。このような場合は、除権決定ではなく訴訟を提起して判決を得て抹消することができます。
訴訟を提起する方法では、権利者が行方不明であるかどうか関係なく行うことができます。証拠もそろってなくても解決することができますが、証拠がそろっていた方が良い事は確かです。
「除権決定を得る方法」は、必ず一定期間公告をしなければなりません。相談を受けてからは、しばらく権利者の調査をする時間も考慮しないといけないため、概ね4~6ヶ月ほどの時間がかかります。ただし、費用の方は当事務所では10~12万円ほどかかります。遠方で現地調査が必要な場合には、もう数万円ほど費用がかかる可能性があります。
「訴訟を提起する方法」の場合は、相手方が所在不明かどうか、証拠がそろっているかどうか、相手方はどのような反論をしてくるかどうかによって、解決の時間が変わります。相手方が所在不明である場合は、除権決定を得る方法と同様、一定期間公告をしなければならないため、概ね4~6ヶ月ほどの時間がかかります。相手方が所在不明でなく、まったく反論もしてこなければ、もう少し短くなりますが、反論をしてくれば、長引くこともあります。
費用の方も、除権決定を得る方法と同じく、当事務所では10~12万円ほどかかります。遠方で現地調査が必要な場合、相手方がいるけども訴状を受け取ってくれない場合には、もう数万円ほど費用がかかる可能性があります。
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