会社を設立するには、まず会社の根本ルールである定款の内容を定めないといけません。定款で絶対に定めなければならない項目は以下のものです。
①目的、②商号、③本店の所在地、④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額、⑤発起人の氏名又は名称及び住所、⑥発行可能株式総数
商号とは会社の名前のことです。商号は自由に選定できますが、株式会社を設立する場合は「株式会社」の文字を用いる必要があり、銀行でもないのに銀行という文言を付けていけないなど、一定の制限もあります。主な注意点は以下のとおりです。
1. ローマ字表記について
以下のローマ字その他の符号を用いることがでます。
(1)ローマ字(大文字及び小文字)
(2)アラビヤ数字
(3) 「&」(アンパサンド)
「’」(アポストロフィー)
「,」(コンマ)
「-」(ハイフン)
「.」(ピリオド)
「・」(中点)
※(3)の符号は,字句(日本文字を含む。)を区切る際の符号として使用する場合に限り用いることができます。したがって,商号の先頭又は末尾に用いることはできません。ただし,「.」(ピリオド)については,その直前にローマ字を用いた場合に省略を表すものとして商号の末尾に用いることもできます。
※なお,ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り,当該単語の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできます。
≪参考≫法務省HP:商号にローマ字等を用いることについて
2.会社の一営業所又は一部門であることを示すような商号
「何会社何支店」「何会社何出張所」「何会社何部門」といったように、会社の一営業所又は一部門であることを示すような商号は使用できません。
3.同一本店、同一商号
同一の本店所在地に同一の商号を使用した会社を設立することはできません。同一の本店所在地に「有限会社いとう」と「株式会社いとう」を設立することや、同一商号の会社の本店所在地場所に同一商号の会社の支店を置くことは可能ですが、使用禁止の請求や損害賠償を受ける恐れがあります。
以前、会社の目的には具体性・明確性が必要でしたが、会社法・商業登記法の改正により目的の具体性・明確性については審査されなくなりました。
したがって、具体性・明確性の欠く目的も登記されますが、許認可や銀行取引などで不利益が生じる可能性ありますので、やはりよく吟味する必要があります。
また、主な注意点は以下の通りです。
1.営利性
利益を得る可能性がない目的は適格性を欠いています。例:政治献金
2.法令上の制限
学校の経営などは株式会社では不可。
3.公序良俗又は強行法規に違反する事業
一定の業務を行うのに、一定の資格が要求され場合、法律事務や司法書士業、行政書士業などは、会社は目的とすることはできない。
これに対して、理髪、美容、測量、不動産鑑定の業務を行う場合は、一定の資格が要求されているが、これは事実行為を行うについて一定の資格が要求されているのであって、会社は目的とすることができる。
定款に記載する本店所在地は、東京都文京区など最小行政区画である市区町村により表示をすれば足り、何丁目何番地など細かい表示は、取締役会又は株主総会で定めることができます。
なお、支店の所在地は定款で定める必要はありません。
注意が必要なのは、同じ商号で同じ本店所在地に登記することはできません(商業登記法27条)。例えば、株式会社伊藤、本店:東京都文京区春日1-1-1とあるところに、同じ本店で株式会社伊藤で設立することはできません。ただし、「有限会社伊藤」を設立することは可能です。
公告とは、広く会社の利害関係人に情報を伝えることです。
主に「官報に掲載する方法」「日刊新聞紙に掲載する方法」「電子公告」によりますが、私の経験上、9割以上は「官報に掲載する方法」と定めます。